朝から緊張していた。夕方から乗用車での移動シーンを撮る予定である。我々としてはかなり大掛かりな撮影だ。
事前にFさんに相談していた。何としてでも欲しい絵ではあるが、いかんせん、技術的なハードルが高い。これまでもFさんには、撮影に必要な機材であるとか、「テレビの映りが悪いよ」等々、日常の細々したことまで、困ったことがあると、何かと相談を持ちかけていたのだが、たいがいのことは何とかしてくれる。我々にとってはドラえもんのような頼れる存在だ。今回も移動撮影のことを相談すると、なんと、ポケットからあっさりトラックを出してくれたのだ。トラックの荷台に廃車を載せて、正面にカメラを据え置いての移動撮影である。
昼間は線路脇で猫を探すシーンをUさんと撮影。粘る。時刻表をにらみながら、列車の通過を何度か狙う。
いよいよ日が暮れ始めた。
Fさんの準備は万全である。とにかく手際がよく、動きがてきぱきしている。アスレチックルームでの頼りなげな動きが嘘のようである。荷台に車を積み上げ、カメラを固定する。
「きれいな星やなあ。大阪では絶対に見られへんわ」。荷台から夜空を見上げていたドイちゃんが、感嘆の声を上げる。私には星を見る余裕はおろか、助手席で寒い思いをしているUさんを気遣う余裕すらなかった。反省材料である。ただ、自主制作でここまで出来るとは、というじんわりとした感慨に浸っていた。
撮影終了後は、Fさん、Uさん、シブ、Cさんを誘い、アパートでたこ焼きパーティー(このたこ焼き専用プレートも、Fさんが用意したものだ)。ドイちゃんの手際のよさに感心し、本場大阪の味に舌鼓を打つ。歓談花が咲き、気が付いたら夜中の2時を回っていた。