2007/11/28 野良猫

 悩んでいる。映画のタイトルである。ちなみにストーリーは、以前にもちらっと書いたが(詳しくはこちら)、「拾った野良猫を溺愛する病身のヤクザ、彼が死ぬまでの最後の一日の物語」といった感じである。
 シナリオを書いていてぱっと頭に浮かんだのは「Stray Cat Blues」。いけない。分りやすいかもしれないが、これはいけない。確かにストーンズのアルバムの中でも、「Beggars Banquet」はとりわけ愛聴している一枚だが、しかしである。「Tattoo You」とか、「Waiting on a friend」とか、もういい加減、卒業しなくてはいけないのだ(きっと)。そう考えれば考えるほど、「Stray Cat Blues」が強迫観念のように頭からこびりついて離れない・・・・・・。
 次に候補としてあがったのが「Silent Night」。これもちらっと書いたが、物語はクリスマスイブの朝から晩までの出来事という設定である。ネタバレになるから詳しくは書けないが(と、もったいぶる)、物語の設定とパンチラインに絡めて、「Silent Night」とするアイディアである。
 上映会の日程まで決まっていながら、タイトルが決まっていないとは・・・・・・。と思い悩みながら、夜、レコーディングのために、相棒と一緒に音楽を担当していただくKさんの札幌市内の自宅を訪れる。
 レコーディングはドーナツをつまみながら、和気藹々と進む。まずはこれまでモチーフとしていただいていた曲から。Kさんはこちらの細かい要望にも的確に応えてくださる。近くで聴く生ギターの響きが素晴らしい。
 続いて、前回の打ち合わせの際、色々と無理難題を言ってお願いした曲を披露していただく。これがいい。ボトルネックを効かせて、なんともクールである。こんな感じ、私は大好きなのだ。ライ・クーダーとかデュアン・オールマンとか。
 いよいよ録音だ。10分近い演奏である。聞けばKさん、ボトルネックを使った演奏はほとんどしたことがなく、また作った曲をその場で録音して渡すというのも初めての経験だという。Kさんが段々とノってくるのがこちらにもビシビシ伝わってくる、白熱の演奏であった。
 Kさんの家を辞去したのは、深夜1時を回っていた。うまくこちらのイメージを伝えられるだろうかと、少し緊張して臨んだレコーディングであったが、Kさんのおかげで本当に楽しいひと時であった。楽しいというより、いいライブを聴いた後の興奮感に包まれていた。監督としてそんなことでいいのか?――いいのだろう。
 家に戻り、いただいたCDを聴き直す。即興ならではの、山あり谷ありの演奏は、そのまま一人の男の紆余曲折の人生を感じさせる。颯爽としていながら、泣き言ばかり言っている男。
 「A Stray Cat's Life 」というタイトルが頭に浮かんだ。チャップリンにかけたものだが、直訳すれば「野良猫の生活」とか、「ある野良猫の人生」になるのだろうか。タイトルが決まったのは良いのだが・・・・・・編集は音楽に合わせて、これから手直しすることになるだろう。