2008/04/13根拠地

 引越しである。デスクやテーブル、ソファやテレビ、冷蔵庫などなど結構な荷物である。こういう時は――そう、Fさんが大きなワンボックスカーを運転して、砂川から応援に駆けつけてくれた。
 助手席には相棒、後部座席を倒した広い荷室には荷物に埋もれるような格好の私。青空の下、札幌の北のはずれの某所を出発して、目指すは豊平区にある「インタークロス・クリエイティブ・センター(ICC)」。札幌市が運営するインキュベーション施設で、この度、入居させていただくこととなった。

 私たちが入居する部屋は1階で間取りは6畳2間。南向きに大きな窓がある。私が先日転居した東京都内の部屋よりも、居住環境はよっぽど良さそうだ。
 その大きな窓から荷物を搬入する相棒、Fさん、私。広さは十分だ。機材類を置く作業用のスペースと、生活用品を配した土足厳禁の憩いのスペースに仕切る。

 てきぱきと作業を終えると、3人で遅い昼食をとりに街中へ。労をねぎらい、ちゃんこ鍋に舌鼓を打つ。
 話題はFさんのベンチプレスのトレーニングの近況など。最近、少し休みがちだという。
 私はというと、滝川で映画を撮り始めてから5年、やっとここまで来たのかと、ちょっとばかり感慨に耽っていた。前日の長旅の疲れと睡眠不足で、頭が少しぼんやりしてきたこともあり、思いは脈絡もなく、誇大妄想的に拡がっていく。

 井岡山から延安へ、やっとのことで出て来たということか――思うに、そのこと自体に意味はないが、とにかく、ぺしゃんこに叩き潰されることはなく、生き延びたのである。たとえ現実には一方的な敗走の歴史であっても、事が成れば、その逃走の道は「長征」ということになるのだ。