今回、私が荒波を越えて北海道に渡った目的はというと――新しい活動拠点への引越しももちろんなのだが、私たちの映画「A Stray Cat's Life」の英語版を製作するというのが大きなミッションであった。
冬の東京でコツコツと、素浪人の内職のように英文字幕を試訳していた。もちろん、私の英語力でははなはだ心もとないので、知人の知人の知人にあたるAさんに全面的に協力をしていただいた。海外生活の長いAさんは英語のみならず、フランス語、スペイン語も堪能である。
英語版の製作は企画当初から計画していたことであった。
脚本段階からセリフは最小限まで削り、演出も出来るだけ即物的な表現を心がけた。つまり、無声映画として成立することを狙い、仮に字幕がなくても十分に物語や主題が伝わるよう意図した(つもりだ……)。
というわけで、完成した英訳を持って札幌に来て、字幕を付ける作業をスタートさせたのだが、これが結構骨が折れる。
このセリフは何秒にしたらよいか、字幕が長すぎはしないか、2行に分けるべきか否か……初めての経験でもあるので、なかなかうまくコツがつかめない。
そうこうしていると、微妙な編集の間なども気になって来る。
私としては英語版の完成をもって作品の真の完成と考えている。英語版こそがこの小さな映画の完全版である。
そして完成した英語版はというと――目指すは海外の映画祭である。